高齢者の単身化と介護保険料

2024年5月31日

高齢化、少子化と人口問題が大きな課題のなか、国立社会保障・人口問題研究所は先月、「日本の世帯数の将来推計」を公表しました(2020年の国勢調査をもとに20年~50年を推計)。

少し驚くデータでした。日本の世帯総数は2030年の5773万世帯をピークに減少に転じ2050年には5261万世帯に減少すること、世帯人数は2020年の2.21人から2050年には1.92人に減少、総世帯に占める一人暮らし世帯の割合は2020年の38%から2050年には44.3%に上昇することが予想されています。

特に顕著なのが高齢者の単身化です。

 

男性未婚の単独世帯率上昇

2020年→2050年の65歳以上の男性の独居率は16.4%→26.1%に、女性は23.6%→29.3% になる予想です。
女性はもともと長生きで一人暮らしが多い傾向がありましたが、男性は未婚率の上昇により今後急激に単独世帯率が上昇すると見られています。

65歳以上の未婚率(2020年→2050年)
男性 33.7%→59.7%、
女性 11.9%→30.2%

65歳以上(高齢者)の男性の約6割が未婚と聞くと「ウソ、ほんと?」と思いますね。

 

介護分野の影響

この影響を最も大きくうけるのが介護の分野と言われています。

配偶者がいない、子どもが少ない、兄弟姉妹がいない、など手助けできる近親者がいない一人暮らし世帯が増加すると今以上に介護保険の利用者が増えてくるのではないでしょうか?

もう一つ話題になったのが令和6年度から令和8年度までの介護保険料の改定でした(介護保険料は3年ごとに市町村が見直し)。

介護保険料の基準額は、介護保険制度が始まった平成12年度(2000年度)は全国平均で月2,911円でしたが、令和5年度は月6,014円と2倍以上となっていました。

特に注目されたのは大阪市の令和6年度からの保険料でした。

大阪市の基準額は令和3年度から令和5年度までは8,094円で全国平均の6,014円に比べると3割以上高いのですが、次期(令和6年度~令和8年度)には1,155円引き上げ、月9,249円、年額で初めて10万円を超えることになります。

介護保険料だけで年10万円というととても大きな負担に感じますが2040年には全国平均が年10万円を超えると言われています。

保険料を青天井に上げることはできないので負担と受給のバランスについての議論が一層活発化していくと思われます。

介護についてもどのように備えるか、しっかり考える時期がきたようです。

 

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国立社会保障・人口問題研究所 「日本の世帯数の将来推計(全国推計)-令和 6(2024)年推計-」についてのプレスリリース

『日本の世帯数の将来推計(全国推計)』(令和6(2024)年推計)